人物
シルバ=ゾルディック
ゾルディック家の当主で放出系の暗殺者シルバ=ゾルディック。プロフィールと人物像、クロロ=ルシルフルとの交戦、ヂートゥ撃破、キルアにアルカとの面会を許すまでの経緯。
シルバ=ゾルディックは、冨樫 義博の漫画『HUNTER×HUNTER』に登場する暗殺者で、ゾルディック家の当主である。父はゼノ=ゾルディック、妻は同じく暗殺者のキキョウ=ゾルディックで、イルミ、ミルキ、キルア、アルカ、カルトの五人の子をもうけた。生年月日は1954年、年齢は48才、血液型はA型。身長198cm、体重110kgの長身で、出身地はパドキア共和国。念系統は放出系である。世界に名を知られた職業暗殺者であり、その家名は、事情を知る者を怯えさせるだけの重みを持つ。
原作第42話が初登場で、第287期ハンター試験を終えて帰宅したキルアと父子の会話を交わす。ヨークシン編ではゼノとともにマフィアン・コミュニティー マフィアに雇われ、幻影旅団の団長クロロ=ルシルフルと交戦した。キメラ=アント編では東ゴルトー王宮に現れ、師団長のヂートゥを一撃で仕留める。選挙編では、ゴン=フリークスを救うためアルカ=ゾルディックとの面会を求めて帰ってきたキルアと向き合った。映像化作品での初登場はTVアニメ1999年版第35話、2011年版第24話にあたる。

シルバ=ゾルディック 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

シルバ=ゾルディック 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ヂートゥを一撃で倒すシルバ

ゼノとクロロを攻めるシルバ

キルアと向き合うシルバ
基本情報
| 所属・役割 | ゾルディック家の当主。一族の暗殺者として依頼を請け負う。 |
|---|---|
| 初登場 | 原作第42話(単行本第5巻)。映像化作品ではTVアニメ1999年版第35話、2011年版第24話。 |
| 状態 | 生存。ハンター試験編から選挙編まで、各編に登場が確認できる。 |
| 念系統 | 放出系。公式に確定するまでは変化系と見られていた。 |
| 体格・出身 | 身長198cm、体重110kg。出身地はパドキア共和国。ゾルディック家では最も背が高い。 |
| 生年・年齢・血液型 | 1954年生まれ、48才、A型。生年を1953年ごろ、初登場時の年齢を46才とする資料もある。 |
| 家族 | 父はゼノ=ゾルディック、妻はキキョウ=ゾルディック。子はイルミ、ミルキ、キルア、アルカ、カルトの五人。曾祖父はマハ=ゾルディック。母は名も消息も明らかにされておらず、ジッグ=ゾルディックとの続柄も判明していない。 |
| 能力・特徴 | ほとんどの毒への強い耐性と、電気への高い耐性を持つ。素手で心臓を抜き取る暗殺技術と、巨大なオーラの球による攻撃を用いる。使用が確認できる技はテン、ハツ、インにとどまる。 |
人物像
長身で筋肉質、きわめて良好な体調を保つ体格の持ち主で、ゾルディック家では最も背が高い。髪は長い銀色がかった金髪で、1999年版のアニメではプラチナブロンドとして描かれた。瞳は深い青で、猫を思わせる形をしている。ただし一覧表記では1999年版の髪を白、瞳を緑とするものもあり、色の扱いは映像版ごとに分かれる。服装は袖なしか半袖の忍び装束で、両手首にリストバンドを着けている。
性格は寡黙で冷静、思慮深い。息子キルアと接する場面は多く描かれないが、その資質を高く買い、家の後継者に据えている。のちにキルアが暗殺への情熱を自分と共有していないと悟り、父を捜す旅にゴン=フリークスと同行することを認めた。ただしそれは、後継者として育つうえで欠かせない段階だと見たからでもある。
暗殺者としての流儀は徹底している。キルアによれば仕事ぶりは慎重で、長男イルミと同じく、任務ではどれほど小さな危険も冒すべきではないと考える。戦いに入るのは100%仕留められると確信できるときに限り、それ以外は好機を待つ。この信条は第125話で語られている。
身内との関係は総じて良好で、妻キキョウを愛し、父ゼノや息子イルミ、ミルキとは持ちつ持たれつの間柄にある。一方でゼノの話好きな調子は苦手で、父が新しい体験を語り出すと半分は聞き流すと自分に言い聞かせる。息子に誓いを求め、それを後々まで重んじるなど、義理を通す一面も持つ。
作中での動向
パドキア共和国で、名を明かされていない母のもとに生まれた。ゼノにとって唯一の息子であり、マハ=ゾルディックにとっては唯一の曾孫にあたる。幼少期について分かっていることは少ないが、ごく幼い頃から暗殺術を仕込まれ、その過程でほとんどすべての毒に対する強い耐性と、電気への高い耐性を身につけた。長じて同じ暗殺者のキキョウと結婚し、五人の子をもうけている。
物語開始の三年前、幻影旅団の構成員一人の暗殺を請け負った。標的はシズク=ムラサキの前任者にあたる人物である。任務は成功したものの、受け取った報酬は割に合わないと感じており、これが彼の標的に与えた最大級の賛辞となった。帰宅後は、アルカを除く子供たち全員に旅団へ近づかないよう警告している。この時期には団長クロロ=ルシルフルとも刃を交えた。
初登場は、帰宅したキルアとの父子の会話である。第287期ハンター試験で出会った友人のこと、試験をどう感じたかを尋ね、何もかも話してほしいと促した。キルアは、ハンターになりたかったわけではないが、試験そのものと新しい友人と過ごす時間は本当に楽しかったと答える。シルバは自分も親に暗殺者として育てられ、同じやり方でキルアを育ててきたと語り、二人がどれほど違うかを見抜けなかったと認めた。そのうえで、キルアは自分の息子である以前に一人の人間なのだから、好きに生きて幸せになってほしいと告げ、息子の髪をくしゃくしゃと撫でている。
友人の誰も裏切らないという血の誓いを立てさせたうえで、キルアが仲間のもとへ戻ることを許した。キルアが去ったあとは、また息子を手放したことに抗議するキキョウを受け流す。キキョウは、イルミが連れ戻すために手を尽くしたこと、後継者にふさわしいかを見極める決定的な局面であることを持ち出した。シルバは事情は分かっているはずだと言って話を打ち切り、不敵に笑いながら、キルアは自分の息子なのだからいつか必ず帰ってくると言い切る。
数か月後、ヨークシンにゼノとともに現れる。二人はマフィアン・コミュニティー マフィアに雇われ、幻影旅団の構成員暗殺を請け負った暗殺者たちの一員だった。打ち合わせの場に居合わせたクラピカは、この二人だけが他の者と格が違うと見抜く。共同で当たろうという提案に対し、シルバは他人の指示は受けず自分たちのやり方で動くとして断った。直後、旅団に配下を次々と殺されたマフィアの幹部たちが取り乱すと、壁を殴って大きな穴を開け、騒ぎを鎮めてゼノの警告を静かに聞かせている。
ヨークシン編とキメラ=アント編での戦い
二人はゼノの円で建物内を探り、地下でクロロを見つけた。交戦の前、シルバは他人の能力を奪える相手だと父に注意を促している。序盤は優勢に進めたが、クロロにベンズナイフで左腕をかすめられた。刃の形から毒を塗った得物だと見抜くと、自分の髪を一本抜いて止血帯とし、問題ないとゼノに伝える。使われた毒は0.1ミリグラムでクジラを麻痺させる代物で、平然としているシルバにクロロのほうが驚いた。
ゼノはクロロを特質系と判断し、他人の念を奪えるとしても四つか五つの条件を満たす必要があり、自分たちほどの手練れを相手にそれを成立させるのはほぼ不可能だと読む。そのうえで単独で仕掛けると決め、押さえ込んだら自分ごと殺してでもクロロを仕留めろとシルバに指示した。シルバのほうは、以前戦ったときよりクロロが強くなっていると感じ取る。あれから奪った未知の能力を思えば、命を懸けずに殺しきるのは難しいかもしれないと考えていた。
ゼノが念の龍でクロロを追い立て、シルバが突然オーラを膨らませて注意をそらした隙に、壁へ押さえ込むことに成功する。とどめを促されたシルバは、巨大なオーラの球を二つ放って大きな爆発を起こした。爆発球と通称されるこの攻撃は、着弾の直前に軌道をわずかにずらされている。依頼人の暗殺を他のゾルディック家の者が果たしたと知らせる無線が鳴ったためである。
無線はイルミからの通話で、自分の依頼人であるクロロがまだ生きているかを尋ねるものだった。生存を告げると、イルミは依頼の進み具合と支払いの段取りをクロロに伝えるよう頼み、シルバとゼノはそのまま仕事を降りる。二人は不審がるクロロに、依頼人は十老頭であり、その依頼人が失われた以上クロロはもはや標的ではないと説明した。立ち去り際、シルバはクロロを睨みつけている。
キメラ=アント編では、討伐隊が東ゴルトー王宮を襲撃する最中に、父を回収するため現れる。師団長のキメラ=アントであるヂートゥにゼノが追われているのを見ると、空の龍から飛び降り、一撃でヂートゥの頭を潰して地面に大きなクレーターを作った。龍で東ゴルトー共和国を離れる道中、ゼノは王宮でキルアに会ったこと、息子が成長していたこと、イルミの針を抜いたらしいことを話すが、シルバは黙ったままだった。
選挙編とアルカ=ゾルディックをめぐる経緯
次に姿を見せるのは、ゴンを元の姿に戻すためアルカに会わせてほしいとキルアが帰ってきたときである。シルバはアルカを制御できない存在とみなして当初は断り、「彼」ではなく「それ」と呼べとまで言った。人ではなく、闇の側から現れた別の場所のものだ、というのが息子への言い分である。だが、友人を裏切らないという以前の約束を持ち出されて折れ、10桁のキーパッド式の扉四枚で守られた金庫の奥にあるアルカの部屋まで、暗いトンネルを通ってキルアを案内した。
入室の前に、シルバはアルカの能力にまつわる規則を復唱させ、懸念の根拠としてアルカがこれまでに死なせた人数を挙げる。キルアが自分たち一族のほうが多く殺していると気色ばんでも、シルバは冷静なまま譲らない。落ち着けないのならこの話はここで終わりだと告げ、交わした約束を重んじるのは父として息子を大事に思っているからだと続けた。
それ以前の経緯は回想で語られる。執事のミツバが、アルカと遊んだ直後にアルカの目が黒く変わり、キルアが元に戻したという出来事を報告した。シルバとキキョウはキルアから能力の説明を聞き、執事たちにアルカの要求をすべて拒ませることに決める。ほどなくミツバは無残に押し潰されて死に、屋敷の別の場所にいた執事も同時に死んだため、二人はいっそう事態をつかみかねた。要求に従う方針へ改めたものの、アルカの境遇を見かねた執事の一人が願いを口にしたため、二人はアルカを自分たちの手元に置くことにする。自分たちの前ではアルカが要求を出さないことにも気づき、イルミは能力をさらに試すため次の執事を選ばせてほしいと申し出た。
キルアが一族とアルカの記憶をたどりながら能力の規則を読み上げ、面会が認められる。シルバはキキョウ、ミルキとともにカメラ室から、キルアがアルカと遊び、簡単な要求を三つ叶える様子を見守った。以前の要求は結局たやすいものだったとミルキが漏らすと睨みつけ、ミルキはすぐ言い直して詫びる。シルバは表情を緩め、アルカが願いを叶えられる状態かをミルキに確かめ、把握している規則をもう一度読み上げさせてから画面に戻った。願いを口にするまでが思ったより長いのを見て、ゴンを救うより先に、誰かが代償を払うことを気にしているのではないかと考える。
その会話は、キルアがアルカを連れて扉の前に立ち、開けてほしいと求めたところで途切れる。シルバはインターコム越しに拒み、願うならその場でやれと告げた。親子ではないかと訴えても父は黙ったままで、キルアは三十分以内に二人で山を出られなければキキョウを殺すようナニカに命じ、カメラ室の一同を驚かせる。シルバは扉を開け、キルアはアルカを連れて外へ出た。
キルア出立後の対応
屋敷を出たキルアは電話の途中で、外出警戒レベル4であることをゴトーに指摘されて話を切られる。キルア自身は、父を苛立たせたのだろうと受け止めていた。ゴトーとカナリアを連れて発つつもりでいたが、出発の前にツボネとアマネ(1)が加わる。シルバの指示によるもので、ツボネはシルバほど甘くはないと言い放った。
その後もシルバと一族は、ツボネに仕込んだカメラで状況を追い続けた。ゴンが治ったあとキルアに詰め寄ろうとしたイルミが、強制的にカメラ室へ送り返されたときには一同が驚いている。キルアの求めでツボネとアマネが席を外す際、シルバは二人に、キルアの外出警戒レベルを解いたと伝えた。
能力・特徴・関係
世界的に名の通った暗殺者であり、ゾルディック家の当主として、きわめて高い水準の念能力者かつ徒手の戦闘者でもある。ごく幼い頃からの訓練に加え、莫大な資産と有能な配下を抱える。ゾルディック家の多くの者と同じく毒への耐性が非常に強く、力、速さ、身体の制御のいずれにも優れる。暗殺の腕前は世界でも指折りと評される。
打撃の威力は、空から落下してヂートゥの頭を一撃で潰し、大きなクレーターを作りながら自身は無傷だった場面に表れている。クロロとの戦いでは、防がれた拳でも相手の体勢を崩すだけの力が残っていた。キルアによれば、血を一滴も落とさないほどの速さで、素手で人の心臓をえぐり取れる。ゼノやクロロとも速さで互角に渡り合った。腕と脚を使って全身の力を乗せる戦い方をとり、ゼノと組むときは、父が守ってくれると分かっているため、隙をさらしてでも全力の一撃を放つ。
防御面では、皮膚が普通の刃物では貫けない。髪は止血帯として使えるほどの強度がある。装備としては、ゾルディック家の暗殺者が契約の遂行を互いに知らせるための専用無線機を用いる。
念系統は放出系。使用が確認できる技はテン、ハツ、インにとどまり、ヂートゥが接近に気づけなかったことがインの裏づけに挙げられる。三年前には幻影旅団の構成員一人を倒して殺している。一方でクロロとの一戦は決着が分からないままである。双方とも生き延びており、アニメでは目立った傷もなく戻る姿が描かれた。
血縁は、曾祖父がマハ、父がゼノで、母は名も消息も明らかにされていない。妻はキキョウ、息子はイルミ、ミルキ、キルア、カルト、娘はアルカ。ジッグ=ゾルディックとの続柄は分かっていない。
呼称と制作上の背景
公式の資料集では「シルバ=ゾルディック」という綴りも用いられている。名前は明るい髪の色、すなわち銀に由来する可能性が指摘されてきた。シルバはラテン語で「森」を意味する語であり、ポルトガル語圏やスペイン語圏では一般的な姓でもある。念系統も、冨樫 義博の展覧会で公式に確定するまでは変化系と見られていた。
1999年の同人誌『週刊冨樫帝国』で、冨樫 義博はシルバの造形が板垣恵介の『バキ』シリーズに登場する範馬勇次郎を下敷きにしていると明かした。読者人気投票では、第1回が85票で15位、ジン=フリークスと同数だった。第2回は144票で13位。年齢はハンター協会公式参考書140ページに初登場時46才と記され、作中の年表上の現在は48才にあたる。
自室ではミケより一回り小さい程度の巨大な犬を飼っている。キルアによればベンニー=ドロンとその作品を好む。岸間信明が執筆した許諾済みの小説の一つには、キルアが飼っていたウルフという犬を、一年後にシルバが狂犬病だとして殺させたという挿話がある。ただし、この本を正史として扱えるかは定まっていない。