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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

「父親(father)」と「お父さん(daddy)」は別物だ——銀河のはみ出し者たちが家族として並び直す、ジェームズ・ガン監督による MCU 第15作。

媒体: 映画(実写) 米国公開: 2017年5月5日 日本公開: 2017年5月12日 監督: ジェームズ・ガン
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 公式ポスター

作品データ

作品
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス
原題
Guardians of the Galaxy Vol. 2
媒体
映画(実写)
米国公開
2017年5月5日
日本公開
2017年5月12日
監督
ジェームズ・ガン
脚本
ジェームズ・ガン
原作
マーベル・コミック(ダン・アブネット/アンディ・ランニング『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』)
製作
ケヴィン・ファイギ
音楽
タイラー・ベイツ
撮影
ヘンリー・ブラハム
編集
フレッド・ラスキン/クレイグ・ウッド
視覚効果
Framestore/Weta Digital/Method Studios/ILM/Trixter/Animal Logic ほか
製作会社
マーベル・スタジオ
配給
ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
上映時間
136分
製作費
約2億ドル
興行収入
全世界 約8.63億ドル
MCU区分
フェーズ3・第15作/インフィニティ・サーガ
時系列上の前後
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』 → 本作 → 『スパイダーマン:ホームカミング』(公開順)/『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(物語順の合流先)
公式予告編は
劇場サイトで確認
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📖 全35章 / 約15K字 🔄 最終更新 2026年5月26日 ✍️ Anna Movies 編集部

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』は、ジェームズ・ガンが監督・脚本を手がけ2017年に公開されたアメリカのSFアクション映画である。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の第15作にあたる。銀河のはみ出し者たちが、スター・ロードの実父エゴをめぐる出来事を通じて、血縁を超えた「家族」として並び直していく姿を描く。

00概要

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(原題:Guardians of the Galaxy Vol. 2)は、ジェームズ・ガンが監督・脚本を務めたアメリカのスーパーヒーロー映画である。米国では2017年5月5日、日本では5月12日に公開され、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の第15作にあたる。シリーズの章立てではフェーズ3に属し、インフィニティ・サーガの後半を担う一本だ。

舞台は前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)から数か月後の銀河。ピーター・クイル/スター・ロード(クリス・プラット)が父親の正体を知るという縦軸に、ヨンドゥ・ウドンタ(マイケル・ルーカー)こそが「父親(father)ではなく、お父さん(daddy)」として彼の傍にい続けたのだと気づく裏の主題を重ね、136分を編み上げる。アクション・コメディの体裁をまといながら、その本質は家族を選び直す物語である。

監督のジェームズ・ガンは、マーベル・スタジオから異例の早さで本作の脚本執筆を任され、前作の撮影中からすでに続編の構想を温めていた。彼はピーターの父親を原作コミックどおりの存在(J'son of Spartax)にはせず、独自にセレスティアルの一柱『エゴ』として再構築する。そのうえで、ヨンドゥというキャラクターを物語の感情の中心へ据え直した。脚本家であり監督でもある人物が原作の主軸をあえて書き換え、なお成功を収めた——MCUのなかでも珍しい例である。

本記事は、結末を含む全編の内容に踏み込む。エゴの正体、メレディス・クイル死去の真相、『拡張』、ヨンドゥの矢と犠牲、ベイビー・グルートの爆弾運搬、ラヴェジャー流の葬儀、そして5つに及ぶポストクレジット——シリーズの今後にも繋がる重大なネタバレを含む。未見の方は、まず本編を鑑賞してから読み進めることを勧めたい。

概要

主要データ

原題
Guardians of the Galaxy Vol. 2
監督
ジェームズ・ガン
脚本
ジェームズ・ガン
音楽
タイラー・ベイツ
撮影
ヘンリー・ブラハム
編集
フレッド・ラスキン/クレイグ・ウッド
米国公開
2017年5月5日
日本公開
2017年5月12日
上映時間
136分
ジャンル
スーパーヒーロー、スペースオペラ、アクション・コメディ、群像劇
シリーズ区分
MCUフェーズ3・第15作

01あらすじ

本稿では、結末を含む全編のあらすじを順に追っていく。物語は1980年、ミズーリでの回想から幕を開ける。やがてソヴリンとの取引、ベルハートへの不時着、エゴの登場、ヨンドゥをめぐる内乱と追放、ネビュラとガモーラの和解、そしてエゴの正体と『拡張』の発動へと進み、ベイビー・グルートが爆弾を運び、ヨンドゥが身を捧げ、ラヴェジャー流の葬儀が執り行われる。最後は5つのポストクレジットへと続いていく。以下、その一部始終を時系列で詳しく辿りたい。

あらすじ

・ミズーリの夕暮れ

映画は1980年、米国ミズーリ州の夕暮れの田舎道から幕を開ける。デジタル処理で若々しく整えられたエゴ(カート・ラッセル)が、銀色の流線型をしたロードスター——デイル号——を路肩に停め、隣に座る若き日のメレディス・クイル(ローラ・ハドック)に銀河の話を語って聞かせる。「俺はずっと、この惑星の誰よりも遠いところから来たんだ」。カーラジオからはルッキング・グラスの『Brandy(You're a Fine Girl)』が流れ、二人はその調べを聴きながら湖畔のような場所まで歩き、小さな『プラント』のような芽生えを土に植える。観客はまだ知らされていないが、これは後に銀河を覆い尽くす計画——『拡張』の、最初の一粒なのである。

デイル号の場面には、のちに伏線として効いてくる細部がいくつも仕込まれている。エゴが地球の音楽に親しんでいること、メレディスをブランディのような女として扱っていること、そして二人の関係が極めて短期間で終わると暗示する、静かな別れの気配——これらは終盤、エゴの本性が明らかになる場面で、冷たさをともなって観客の側に立ち返ってくる。本作が『リミックス』と名付けられた所以の一つは、この冒頭のロックが本編全体を通じて繰り返し再演されていくところにある。

場面は34年後、すなわち2014年の銀河へと飛ぶ。ガーディアンズ——ピーター・クイル/スター・ロード、ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)、ドラックス(デイヴ・バウティスタ)、ロケット(声:ブラッドリー・クーパー)、そして鉢から芽吹いた『ベイビー・グルート』(声:ヴィン・ディーゼル)——は、黄金の人工種族ソヴリン人の依頼を受け、巨大な異次元の獣『アビライスク』から貴重なエネルギー電池『アヌラックス・バッテリー』を守る任務に就いている。

ソヴリンの仕事とロケットの盗み

オープニングのタイトル・シーケンスは、鉢から飛び出したベイビー・グルートがELOの『Mr. Blue Sky』に合わせて踊り、その背後では仲間たちがアビライスクと壮絶な戦闘を繰り広げる、という構成だ。画面の主役と物語の主役をあえてずらす——ガンが好んで用いるこの手法が、本作の語り口を冒頭から一気に刻みつける。

アビライスクを撃退したガーディアンズは、ソヴリンの黄金の女王アイーシャ(エリザベス・デビッキ)から報酬として、捕らえられていたネビュラ(カレン・ギラン)の引き渡しを受ける。ガモーラの妹であるネビュラを所属するノヴァ軍へ送り届ければ、ガモーラには姉妹の再会が、ガーディアンズには賞金が手に入る。二重の利得が約束されていた——はずだった。

退去の直前、ロケットが出来心でアヌラックス・バッテリーを数個くすねる。ソヴリンのプライドは異様に高く、これを侮辱と受け取った彼らは、惑星全土から遠隔操縦戦闘機『オムニクラフト』の艦隊を差し向ける。ピアノを奏でるオペレーターさながらに量産機を遠隔で操るという演出が、ソヴリンの非人間性と滑稽さを同時に印象づける。ガーディアンズはハイパージャンプ(620番ジャンプ)を強行し、装備が半壊したベンチャー号は惑星ベルハートに不時着する。

謎の救援者

撃墜寸前、最後のオムニクラフトを謎の力で次々と破壊する人影が現れる。降り立った男は、自らをピーターの父『エゴ』と名乗った。背後に付き従うのは、共感能力を持つ昆虫族の女性マンティス(ポム・クレメンティエフ)。ピーターは半信半疑のまま、それでもガモーラを伴い、エゴの惑星——『エゴ』そのものと同じ名を冠した、男と同名の惑星——への招待を受け入れる。ドラックスは「マンティスを見たい」という、ほとんど本能的な好奇心から同行する。

ロケットとベイビー・グルートはベンチャー号を修理するためベルハートに残り、捕虜のネビュラを見張る役目を負う。ここから物語は、エゴの惑星をめぐるパートと、ロケット側のラヴェジャー内紛のパートに分岐し、終盤で再び合流する三幕構成へと移っていく。

観客はこの時点で、エゴは本当にピーターの父なのか、その父性は本物なのか、そもそも惑星と同じ名を持つ男とは何者なのか——という疑念を抱えながらも、父との絆を取り戻そうとするピーターの姿に寄り添うことになる。ガンはここで、観客が父の素性を疑い始めるための『さりげない違和感』を、台詞ではなく画面で配置している。整いすぎた惑星の風景、左右対称の建築、そしてエゴが何でも思いのままに作り出してみせる超常的な万能感——その一つひとつがそれだ。

ヨンドゥの追放と内乱

舞台は宇宙ステーション『コンタクシア』。マイケル・ルーカー演じるヨンドゥ・ウドンタが、年老いた賢者然としたスタカー・オゴード(シルヴェスター・スタローン)に冷たく拒絶される場面から始まる。ヨンドゥの一派は『ラヴェジャー98部族(連盟)』からすでに正式に追放されていた。その理由は『子供たちの密輸』——スタカーいわく『ラヴェジャー規約に反した』行為である。これは前作で示唆されていたヨンドゥの暗い過去——ピーターを地球からさらったのも、その仕事の一環だった——を正面から明かす展開だ。

ベルハートに飛んだヨンドゥは、ガモーラの首と引き換えにアイーシャと取引し、ロケットの捕縛に動く。ヤカ・アローを使えばロケットなど一蹴できる立場にありながら、ヨンドゥは『あの子(ピーター)』がそばにいないことに動揺し、捕縛の決断をためらう。その隙を突くように、クルーが反乱を起こす。先頭に立つのは、自ら『テイザーフェイス』と名乗る短気な男(クリス・サリヴァン)と、技師タレックだ。

反乱クルーは、ヨンドゥに忠実な一派を一人ずつ宇宙へ放り出し、皆殺しにしていく。ヨンドゥ、ロケット、ベイビー・グルートはエレヴェイター(艦内重力刑務所)に拘束されるが、長年ヨンドゥの副官を務めてきたクラグリン・オブフォンテリ(ショーン・ガン)が密かに同情し、ヨンドゥのヤカ・アローと操作用プロトタイプの新型フィンを差し入れる。解き放たれたヨンドゥは、『Come a Little Bit Closer』(ジェイ・アンド・ジ・アメリカンズ)の調べに乗せ、たった一本のヤカ・アローで艦内のクルーをほぼ全員葬り去る。陽気な楽曲と、赤い軌跡を引いて人々を舐めるように貫いていく矢——本作でも屈指の鮮烈な名場面だ。

ネビュラとガモーラの和解

ベンチャー号で監視下に置かれていたネビュラは、再び姉ガモーラとの宿命的な対立へと引き込まれる。ベルハートでの後始末の最中、ソヴリンの追撃をかわしながら、二人は激しくぶつかり合う。銃撃の応酬の果てに、ネビュラは長年胸に秘めてきたサノスの『調教』の真実をついに口にする——『毎度毎度、お前が私を負かしたあと、サノスは私の身体の一部を機械に取り替えた』。

ここで観客は、ネビュラの機械化された体が彼女自身の望んだ強化などではなく、姉に勝てなかった代償としてサノスに『修理』され続けた末の姿だったと知らされる。『お前はいつも勝ちたかった』というガモーラに、ネビュラは『私は妹が欲しかっただけだ』と返す。MCUが積み重ねてきたサノス家の長い前史が、姉妹のこの一場面に凝縮されている。

和解とまではいかないが、ネビュラはひとまずガモーラとともに『拡張』を止める側に立つ。サノス本人の存在を意識し、銀河へと去っていく彼女の選択は、続く『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』での役割を示す伏線として置かれている。

エゴの正体

エゴの惑星で、ピーターは自らの内に父と同じ『光(フォース)』が眠っていることを知る。やがてフォースで小さなエネルギーの球をキャッチボールできるまでになり、父を信じる気持ちが芽生えていく。長年抱えてきた『母メレディスはなぜ自分を迎えに来なかったのか』という痛みも、少しずつ癒やされていった。だがその裏で、マンティスはドラックスにそっと耳打ちする——『ここで何が起きているのか、私は嘘をつけない。あなたたちに早く伝えなければならない』。

ピーターを連れて『コア』へ降りたエゴは、ついに自らの正体を打ち明ける。彼は数百万年前から宇宙に存在する『セレスティアル』——惑星規模の意識体であり、人間の姿は便宜上の擬態にすぎない。長い孤独に耐えかねたエゴは、自分と同等の存在がどこにもいないことに失望し、銀河じゅうを巡って人間の姿で何百人もの子をもうけてきた。子たちはそれぞれの星で『拡張(エクスパンション)』——惑星の地表を自らの延長として塗り替える、光の苗——を内に宿している。だが、それを発動させるのに欠かせない『セレスティアルの遺伝子(光の力)』を受け継いだ者は、これまで一人として現れなかった。

そしてエゴは、ヨンドゥに一連の依頼を出していた相手こそ自分であり、その『地球の少年』ピーターがようやく適性を持って生まれた我が子だと告げる。ピーターを地球から確実に引き上げるためにヨンドゥを雇い、配達を済ませる段取りだった——だがヨンドゥは少年を引き渡さず、なぜか自分のクルーとして手元に置いてしまう。エゴはそれを『裏切り』ではなく『ありがたい偶然』だと語る。「もし約束通り渡されていれば、お前は他の数百人と同じ運命だった」

その言葉の意味を、ピーターは父の口から聞かされる。エゴは他の子らを『遺伝子の試験』のために迎え入れ、適性が無いと判明した瞬間に、すべて殺してきたのだ。コアの大空洞の床には、無数の白骨が積み上げられていた。エゴは『家族を増やすつもりはなかった。私はもう一人の私が欲しかっただけだ』と平然と告げる。心温まる家族の物語が、その内側に銀河規模のジェノサイドを抱えていたという、すさまじい反転である。

メレディスの真実とピーターの拒絶

決定的な一言が続く。ピーターはエゴに『母さんは、なぜ若くして死んだのか』と問う。エゴはためらいなく答える——『俺がそうした。彼女を地球に置いて去ったあと、戻るたびに惹かれてしまう自分が嫌だった。任務(拡張)に集中するため、メレディスの脳に腫瘍を植え付けた』。冒頭の夕暮れのデートシーンに好意を抱いていた観客にとって、その光景はここで残酷な伏線へと反転する。

ピーターは父にブラスターを乱射する。エゴはセレスティアルの能力でピーターを拘束し、惑星全体に伝わる『拡張』を発動させる。エゴの星核から銀河じゅうに植えられた苗へと青い光が一斉に伸びていく——この場面こそ本作のスペクタクルの核心だ。ザクサル、ソナイア、ノヴァ・プライム。いくつもの惑星の地表を、エゴ自身の意識が覆い始める。

秘密を打ち明けたマンティスは、ガモーラとドラックスを『核』へ案内し、ピーターを救う側へと回る。自らの能力で眠らせ続けてきたエゴの巨大な疲弊を見つめながら、彼女は『私はずっと、彼が眠っているあいだだけ生きてきた』と告げる。マンティスの存在そのものが、エゴの自己愛が要求した装置にすぎなかった——その事実が、ここで明らかになる。

核への突入とベイビー・グルートの爆弾

ヨンドゥ、ロケット、ベイビー・グルート、クラグリンを乗せた採掘ポッドは、エゴの惑星をめざして720回近い連続ハイパージャンプを敢行する。連続ジャンプは生物に致命的な負荷をかける危険な航法で、画面では搭乗者たちの顔が大きく歪み、変形したまま漫画のように元へ戻る——コミカルな演出と緊迫感を同時に成立させる、本作を象徴するシーケンスである。クラグリンの口の中には、ヨンドゥの抜け落ちた歯が当然のように散らばっている。細部までこだわり抜かれた場面だ。

惑星に到達した一同は、ガモーラとドラックス、ネビュラ、そしてピーターの一行と合流する。ロケットは「エゴの脳幹に当たる場所に時限式の量子爆弾を仕掛ければ、惑星まるごと止められる」と提案する。エゴの本体である脳幹は核の最深部に守られており、爆弾はあらかじめタイマーをセットし、手で運び込むしかない。そしてその役目は、最終的にベイビー・グルートが担うことになる。

運搬の手順を理解させようと、ロケットがベイビー・グルートに「赤いボタンを最後に押せ」と順を追って教える小さなコメディが続く。だがグルートは赤を青と取り違え、青を黄と取り違え、しまいには毛糸玉や芋虫まで持ってくる。命がかかった状況でありながら、誰一人として子供に声を荒げない。一行のこの優しさこそ、本作の家族観をもっとも端的に映し出す場面である。

ピーターは内に芽生えたセレスティアルの力を逆手に取り、エゴの本体と能力でぶつかり合う。エゴが繰り出す『パックマン』や懐かしの怪獣、デヴィッド・ハッセルホフといった巨大な光の幻影による戦いは、ピーターが少年時代に焦がれた地球文化への執着が、銀河規模の決戦のなかで武器へと変わった瞬間として読み解ける。やがてベイビー・グルートが爆弾を脳幹に置き、起爆する。エゴの「拡張」は止まり、惑星エゴそのものが崩壊を始める。

ヨンドゥの犠牲

核の崩壊が進むなか、ヨンドゥは脱出ポッドに一着だけ残された宇宙服と空気推進バックパックを、自らの手でピーターに着せていく。「お前にはまだ生きる時間がある」。何が起きているのかピーターはとっさに飲み込めない。だが二人が大気圏外へ放り出された瞬間にすべてを悟る——ヨンドゥは、自分の分のスーツを取らなかったのだ。

凍てつく宇宙空間で意識が遠のくなか、ヨンドゥは最後にピーターへ言い残す。「He may have been your father, boy, but he wasn't your daddy.(あいつはお前の父親(father)だったかもしれんが、お父さん(daddy)じゃなかった)」。英語の語感の差を最大限に生かした、MCU でも屈指の翻訳家泣かせの一行である。父性とは遺伝子ではなく、ともに過ごした時間の側にある——映画全体のテーマが、この短い台詞に凝縮されている。

ヨンドゥは凍死し、ピーターの腕のなかで固まっていく。ピーターは涙を拭おうともせず、その体を抱きしめる。流れるのはキャット・スティーヴンスの『Father and Son』。息子が父のもとを離れていく歌ではなく、ここでは父が息子を残して去る側で響くのだ。

葬儀の場面には、ガーディアンズと旧ラヴェジャーたちが集う。スタカー・オゴードはヨンドゥの死後にようやく彼を許し、『ヨンドゥ・ウドンタは、お前たちのリーダーとして死んだ』と公式に讃える。空へ放たれる虹色の祭礼花火は、ラヴェジャーの伝統で『破門されていない者だけが受けられる送り火』だ。クラグリンはヨンドゥから受け継いだ新型フィンとヤカ・アローを手に取り、口笛で操ろうとするが、すぐには制御できず、自らの鼻を貫いてしまう——悲嘆と笑いを同居させる、ガンらしい締めくくりである。

ここまでが全編のあらすじである。以降は登場要素、主要人物、舞台と用語、制作、公開と興行、批評、舞台裏、テーマ、補助ガイド、参考資料を扱う。なお本作は5つに及ぶポストクレジット要素を持ち、その全てを下記『ポストクレジット要素』に整理した。

登場要素

本作に登場・言及される主な要素を、後続のMCU作品とのつながりを意識して分類した。初見ですべてを覚えておく必要はない。後半のフェーズで再び登場したときに立ち返るための手引きとして活用してほしい。

  • ピーター・クイル/スター・ロード
  • ガモーラ
  • ドラックス・ザ・デストロイヤー
  • ロケット
  • ベイビー・グルート
  • ヨンドゥ・ウドンタ
  • ネビュラ
  • マンティス
  • クラグリン・オブフォンテリ

  • エゴ(セレスティアル本体)
  • アイーシャ(ソヴリンの女王)
  • テイザーフェイス
  • ゾロブト・タレック
  • ソヴリン人およびオムニクラフト艦隊

  • スタカー・オゴード(旧ラヴェジャー98部族代表)
  • アレタ・オゴード
  • チャーリー27
  • マーチネックス
  • メインフレーム(マイリー・サイラスの声)
  • クルガー
  • ハワード・ザ・ダック(バー客)
  • スタン・リー(ウォッチャーズと会話する地球人観察者)

  • ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
  • ヨンドゥ派ラヴェジャー
  • 旧ラヴェジャー98部族(連盟)
  • ソヴリン
  • ノヴァ軍(言及のみ)

  • ミズーリ(1980年・地球)
  • ソヴリン領内
  • ベルハート(不時着先の森林惑星)
  • コンタクシア(歓楽宇宙ステーション)
  • エゴの惑星(自己同名のセレスティアル)
  • エゴの核
  • 葬儀の宇宙空間

  • アヌラックス・バッテリー
  • ヤカ・アロー(口笛で操る赤い矢)
  • ヨンドゥのフィン(旧型/新型プロトタイプ)
  • デイル号(カー)
  • ベンチャー号
  • オムニクラフト遠隔操縦戦闘機
  • 量子爆弾
  • アバイラスクの体液(バッテリー保存用)
  • デヴィッド・ハッセルホフのカセット

  • セレスティアル
  • 『拡張(エクスパンション)』
  • ヤカ・アローの操作(口笛)
  • マンティスの共感能力
  • ロケットの技術力
  • 光(フォース)
  • ハイパージャンプ

  • クラグリンが新型フィンを手に入れる
  • スタカーが旧ガーディアンズを集結させる
  • アイーシャが『アダム』を作り出す
  • ドラックスとマンティスの会話
  • スタン・リーがウォッチャーズと話す
  • 成長したティーン・グルート

12主要登場人物

前作では「集まったばかりの寄せ集め」にすぎなかったメンバーが、本作では互いを家族として扱い始める。ジェームズ・ガンの演出は、各人の弱さや葛藤を一行の台詞、一拍の沈黙へと凝縮してみせる。台詞を細かく追うほど、人物像はいっそう深まっていく。

ピーター・クイル/スター・ロード

前作で母を亡くした少年だったピーターは、本作で「自分は誰の子なのか」という長年の問いに向き合うことになる。遺伝子上の父であるエゴをいったんは信じかけるが、母メレディスの死がエゴの手によるものだと知った瞬間、彼は自らの出自そのものを拒む。

最後に父として選ぶのは、かつて自分を売り飛ばそうとしたはずのヨンドゥだった。「お父さん(daddy)はあいつだった」という結びは、血ではなく傍らで過ごした時間こそがアイデンティティを形づくる、という本作の主題そのものである。続編『インフィニティ・ウォー』で彼が見せる感情のもろさも、こうした一連の出来事の延長線上にあるといえる。

ヨンドゥ・ウドンタ

セントーリアン人の盗賊団長。金歯をのぞかせ、フィンと呼ばれる頭部の装置でヤカ・アローを自在に操る。前作では『青いトロール』程度の扱いだったが、本作では物語の感情を担う中心人物へと昇格する。

ラヴェジャー98部族から追放された理由は『子供たちの密輸』だった。少なくとも一度はエゴからの依頼を受け、運んでいる『荷物』の中身がエゴに殺される子供たちだと薄々気づきながら、それでも続けていたことを示唆する。少年ピーターを依頼通りに引き渡さなかったのは、その良心が最後に見せた光だった。

ヨンドゥの最期の犠牲と、それに続くスタカーとの和解には、追放された者は死後にのみ赦されるという構造がある。MCUにおいて『悪役として登場したキャラクターを、続編で最も敬意を集める人物へと書き換える』、その最も成功した例の一つである。

ガモーラとネビュラ

サノスに「姉妹」として育てられた二人は、繰り返される格闘訓練のたびに、勝った者が褒美を与えられ、負けた者はサノスの手で身体を機械化される——という残虐な調教を受けてきた。本作で初めて、ネビュラの視点からその実態が語られることになる。

ガモーラはこれまで、自分が暴力に長けていることを誇りに思っていた。だが、ネビュラの「私はただ妹が欲しかっただけだ」という告白によって、自分の勝利が妹の身体の機械化という代償の上に成り立っていた事実を突きつけられる。和解は完全ではない。それでも二人がサノスへの反逆を選ぶ最初の節目として、本作は重要な意味を持つ。

ロケット/ベイビー・グルート

前作でグルートが命を投げ出した末に生まれ変わった『ベイビー・グルート』は、知性こそ幼いものの、根っこにある共感の力は前世とそのまま地続きだ。終盤、量子爆弾を運ぶ大役を託されるのも、小柄ゆえに適任というだけではない。彼を信頼できる仲間として一同が認めているからこそである。

盗み癖、皮肉屋、強すぎる自己防衛の本能——そんな性分を抱えたロケットは、本作でヨンドゥと『同じ穴の貉』として一夜限りの友情を結ぶ。ヨンドゥが『お前と俺は同じだ』と言い放ったとき、ロケットはそれを受け流せなかった。このわずかな反応こそが、続編で彼が見せる感情の伏線として、ここに静かに置かれている。

マンティス

エゴが孤独に耐えかね、惑星でみずから育て上げた共感能力を持つ昆虫族の女性。エゴの巨大な精神的負荷を毎晩眠らせる、ただそのためだけに存在を許されてきた、本作で最も寂しい登場人物の一人である。

ピーターやドラックスとの交流を通じて、彼女は初めて「感情の中身を、自分のためにも分かち合っていい」という体験を得る。ドラックスとのコミカルな掛け合いの裏には、誰かに泣いてもらった経験すらないという、彼女の背景がある。続編で彼女が完全にガーディアンズの一員となるための前段が、本作では慎重に描かれている。

ドラックス・ザ・デストロイヤー

前作での彼はほぼ復讐心に取り憑かれていたが、本作で前面に出るのは「陽だまりのような家族思いの男」という一面である。妻と娘を失った過去を、初めて他者に向かって語る場面——マンティスとの夜の対話——は、本シリーズでも屈指の、静かに感情がにじむ名場面だ。

甲高すぎる笑い声、独特の言い回し、対人感覚のずれ。それらは笑いを誘う材料であると同時に、感情を遠回しに扱えない種族——リテラル人——としての造形の延長でもある。最初こそマンティスを「気持ち悪い」と評した彼が、最後には彼女のために脱出ポッドの席を譲る。その変化に注目したい。

舞台と用語

物語は1980年の地球で幕を開け、ソヴリン領、ベルハートの森林惑星、コンタクシア宇宙ステーション、エゴと同じ名を持つ惑星、そして宇宙空間での葬儀へと、次々に舞台を移していく。MCU の宇宙パートにおいては、『前作』『本作』、そして『インフィニティ・ウォー/エンドゲーム』を支える世界観の中核に位置づけられる一作だ。

押さえておきたい重要用語は次の通り。惑星規模の意識体であるセレスティアル(後のフェーズ4『エターナルズ』で再定義される)、銀河の盗賊団連盟ラヴェジャー、口笛で操る赤い矢ヤカ・アロー、エゴが銀河を自らの延長で覆い尽くそうとする計画『拡張(エクスパンション)』、そしてピーターが母から受け継いだカセット・テープ集 Awesome Mix。いずれも続編で繰り返し言及・参照される要素であり、本作で意味を押さえておけば、後の鑑賞がぐっと滑らかになるはずだ。

本作の宇宙では、『インフィニティ・ストーン』への言及はまだ薄い。物語が独立して見える理由のひとつだが、ピーターの内に眠る『光』は、後の『インフィニティ・ストーン』とは別系統のセレスティアルの力として整理されており、エンドゲーム以後のピーターの能力をめぐる議論にもつながっていく。

20制作

本作は、前作の興行成績と評価を見極めたマーベル・スタジオが、異例の早さで続編製作にゴーサインを出した一本である。脚本・監督はジェームズ・ガンが続投。前作の公開直後には、すでに第二稿に相当する脚本を提出していたという。

制作

企画と脚本

ジェームズ・ガンは前作の撮影中から、続編のテーマを「家族」に据えると決めていた。とりわけ「ピーター・クイルの父親」を物語の中心に置くにあたり、原作で父とされていたJ'son of Spartax(スパータックスのジェイソン)は採用しないと宣言する。原作のジェイソンは王族としての政治的な役回りに偏っており、家族をめぐる純粋な対立軸には据えにくい。それが理由であった。

代わりに選ばれたのが、コミックの『マイティ・ソー』系列に登場する古参のキャラクター、エゴ・ザ・リヴィング・プラネットである。原作のエゴは惑星そのものの意識であって人型ではない。だがガンはこれを擬人化し、人間の姿で銀河じゅうに種を播くカリスマ的な悪役へと書き換えた。こうして「父親の正体/父との和解/父の拒絶」という三段構成が成立し、これと対をなす「お父さん」としてヨンドゥが浮上する余地が生まれたのである。

脚本の核に据えられた感情のキーフレーズが「He may have been your father, boy, but he wasn't your daddy.」である。ガンはインタビューで「この一行を中心に、脚本全体を逆算して書いた」と語っている。ラヴェジャーの過去、ヨンドゥの追放、ピーターの拒絶、そして葬儀の場面まで、すべてがこの一行へと収束するよう設計されているのだ。

キャスティング

エゴ役には当初、マシュー・マコノヒーが強い意欲を見せていたとされる。だが最終的に白羽の矢が立ったのはカート・ラッセルだった。決め手となったのは、1980年代に若かった俳優を起用するというキャスティング条件である。回想シーンでデジタルによる若返り処理を施す必要があり、若い頃の映像や写真資料が豊富に残るラッセルが最適だと判断された。

マンティス役のポム・クレメンティエフは、ガンが本作のために重ねた多数のオーディションを経て起用された。フランス出身の彼女は、本作までは英語圏での出演経験が限られていた。それでもガンは、彼女ならマンティスの異星人ならではの距離感をにじませられると確信したと公の場で語っている。

スタカー・オゴード役のシルヴェスター・スタローンは、旧作コミック『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に登場するキャラクターたち——スタカー、アレタ、チャーリー27、マーチネックス、メインフレーム、クルガー——を映画版で結集させるための、象徴的なキャスティングである。メインフレームの声をマイリー・サイラスが担当している点も、サウンドトラックを起点に据えた本作の音楽戦略と響き合っている。

撮影

撮影監督を務めたのはヘンリー・ブラハム(『パディントン』『シンデレラ』)。マーベル・スタジオ作品としては初めて、本編の全編を8K解像度の Red Weapon 8K VV カメラで撮影した一本である。フィルムらしい質感を残しながら、エゴの惑星の有機的な色彩、ベルハートの森に差す自然光、そしてヨンドゥの葬儀が見せる深宇宙の表現を、同じカメラ一台で描き分ける――そこに狙いがあった。

撮影は2016年2月から6月にかけて、米国アトランタ近郊の Pinewood Studios(現 Trilith Studios)で進められた。エゴの惑星の地表はCGに頼りきらず、実物大の起伏セットや造形物を多用し、俳優の演技に物理的な手応えを残す方針がとられた。エゴが見せる『光のキャッチボール』も、現場では青いボールを使って実際にキャッチボールを行い、後からVFXで光の球へと置き換えている。

視覚効果

視覚効果は、Framestore、Weta Digital、Method Studios、ILM、Trixter、Animal Logic ほか多数のスタジオが分担して手がけた。ベイビー・グルートはほぼ全編が CG モデルで、その動きのデータの一部は、ジェームズ・ガン自身がモーション・キャプチャーを兼ねたという。

1980年のエゴを描くデジタル若返りの技術は、本作の公開時点で MCU 全体を見渡しても最先端の領域にあった。Lola VFX が顔の置換とリトポロジー作業を組み合わせ、参照素材にはカート・ラッセル本人の若き日の映像を用いている。一方、ヤカ・アローが宙に描く赤い軌跡は、CG のなかでもあえてアニメ寄りに様式化を強め、ファンタジー的な見せ場として独立させた。

終盤、崩壊していくエゴの惑星と、エゴ本体が見せる『パックマン』『ハッセルホフ』『コスミック・ウィスプ』といった光の幻影。これらはガンが青年時代に刻んだポップ・カルチャーの記憶を視覚化したものとされ、技術面でもストーリー面でも本作を象徴するシーンとなった。第90回アカデミー賞視覚効果賞へのノミネートは、こうした一連の映像表現が評価された結果である。

音楽とAwesome Mix Vol.…

劇伴を手がけたのはタイラー・ベイツ。前作から続投したベイツは、ベイビー・グルートのテーマ、エゴのテーマ、ヨンドゥのテーマを新たに提示しつつ、前作のモチーフを随所で再演する「リミックス」的な構造をとった。物語の流れと挿入歌の重なり方は前作以上に緻密で、サウンドトラック・アルバム『Awesome Mix Vol. 2』は2017年4月21日に米国で先行リリースされた。

本作で象徴的に使われる楽曲は以下のとおり。ELO『Mr. Blue Sky』(オープニングのダンス)、ルッキング・グラス『Brandy(You're a Fine Girl)』(エゴが自身とメレディスを重ねるテーマ)、フリートウッド・マック『The Chain』(ヤカ・アローによる連続殺戮の前後)、ジェイ・アンド・ジ・アメリカンズ『Come a Little Bit Closer』(同じ場面を彩る一曲)、ジョージ・ハリスン『My Sweet Lord』、サム・クック『Bring It On Home to Me』、フリートウッド・マック『Surrender』、シルヴァー『Wham Bam Shang-a-Lang』、そしてキャット・スティーヴンス『Father and Son』(ヨンドゥの葬儀)である。

楽曲の選定は、感情を揺さぶる場面を脚本で先に決め、そこへ後から合う曲を貼り付けるやり方ではない。撮影前にプレイリストを確定させ、現場でその曲を流しながら俳優を演技させる「サウンド・オン・セット」方式で進められた。ガンが前作から続けてきた手法であり、俳優の動きのリズムが楽曲とぴたりと同期して見えるのは、このためだ。

編集と尺

編集を手がけたのはフレッド・ラスキンとクレイグ・ウッド。最終的な上映時間は136分だが、当初の暫定版は150分前後だったとされる。削られたのは主にエゴの惑星パートの探索描写と、ベンチャー号のベルハート修理パートにおける会話シーンである。ガーディアンズらしい軽口は残しつつ、ヨンドゥの葬儀へと向かう感情の流れを何よりも優先する——その判断が全篇を通して貫かれている。

本作はマーベル映画には珍しい構成を取っている。本編中盤を『家族論の対話パート』と『戦闘パート』の切り返しで刻むのではなく、長い対話のシーン——ネビュラとガモーラ、マンティスとドラックス、ピーターとエゴ——をそれぞれ独立した一定の長さで、腰を据えてじっくりと見せていくのだ。ガンはこれを意図的なものだとし、『コメディ・スペース・オペラの外見を保ちつつ、内側はホーム・ドラマ』にしたと述べている。

27公開と興行

本作は2017年4月10日、ロサンゼルスのドルビー・シアターでワールド・プレミアを迎えた。4月末から欧州・アジアで順次公開され、米国・日本では5月の連休に合わせて劇場公開されている。北米の公開3日間で約1.46億ドル、世界初週末は約4.27億ドルを稼ぎ出し、2017年公開作のなかでも年間興収トップクラスの好スタートを切った。

世界興行収入は最終的に約8.63億ドルに到達。『シビル・ウォー』『ドクター・ストレンジ』『スパイダーマン:ホームカミング』などフェーズ3前半の作品と並べても、シリーズの主力をなす一本にふさわしい数字となった。日本でも公開後数週にわたって週末興行の上位を保ち、最終的な興収は約34億円を記録している。

第90回アカデミー賞では視覚効果賞にノミネートされた(受賞は『ブレードランナー 2049』)。Saturn Awards では最優秀SF映画賞、最優秀監督賞(ガン)、最優秀キャラクター造形賞などを受賞。Awesome Mix Vol. 2 のサウンドトラックは Billboard 200 にチャートインし、リリース週には全米トップクラスのセールスを叩き出した。

ポストクレジット要素

本作は MCU としては異例の、5つものポストクレジット・シーンを用意している。今後のシリーズへとつながる伏線、純粋なファンサービス、そして単なるギャグ——その性格はさまざまだが、いずれも本編のテーマと呼応しているのが心憎い。

  • ①クラグリンが新型フィンとヤカ・アローを練習する/鼻を貫く——ヨンドゥの遺産の継承
  • ②スタカー・オゴードが旧ラヴェジャーたち(アレタ、チャーリー27、マーチネックス、メインフレーム=マイリー・サイラス声、クルガー)を再結集する——コミック原作の『初代ガーディアンズ』のお披露目
  • ③アイーシャが新たな『完璧な存在』を作り出し、その名を『アダム』と告げる——後の『ガーディアンズ Vol. 3』ではアダムの登場へと繋がる伏線(採用された名はアダム・ウォーロック)
  • ④ドラックスがマンティスを『気持ち悪い』と言いながらも、彼女と並んで宇宙を眺める——ガーディアンズの新たな家族化
  • ⑤スタン・リーがウォッチャーズと宇宙空間で会話する——彼が MCU 全体を観察してきた語り部であることを示唆するメタ要素
  • ⑥ティーン・グルートが部屋を散らかし、クイルが小言を言うがその姿勢が完全に父親そのものになっている——成長したグルートと、父性の継承

29批評・評価・文化的影響

本作は、前作の鮮烈な独立性を保ちつつ、より個人的で感情的なドラマへと重心を移した続編として高い評価を得た。批評家の支持は前作よりやや割れたものの、観客の評価は高い水準を保ち、なかでもヨンドゥの犠牲とラヴェジャーの葬儀の場面は、MCU全体でも「最も泣ける場面」として繰り返し語られている。

一方、批評の論点はいくつかある。前半、ソヴリンの襲来からベルハートの不時着までの中盤が冗長だという指摘。エゴの動機が壮大すぎるあまり、ピーターとの個人的な対立に絞り込まれるまでに時間を要するという構成上の問題。そして笑いとシリアスの切り替えが頻繁な演出は、好みが分かれた。これらは続編『Vol. 3』で大きく作り直され、ロケットの過去という縦軸へと収斂する形で克服されている。

文化的な影響としては、いくつかの点が挙げられる。『Awesome Mix』というコンセプトが、フランチャイズ全体の音楽戦略の手本として再び用いられたこと。本作のヨンドゥがMCUを代表する「カッコいい大人のキャラクター」として広く愛されるようになったこと。そしてベイビー・グルートが、低年齢層への入口となる存在としてフランチャイズの裾野を広げたことである。

舞台裏とトリビア

オープニング・タイトルでベイビー・グルートが踊る、ELO『Mr. Blue Sky』の場面。このベイビー・グルートのモーション・キャプチャーは、リハーサルでジェームズ・ガン自身が踊って収録したという。撮影前、音楽との同期を完璧に揃えるため、ガンは自宅で同曲に合わせて何度も踊り、撮影台本のテンポを決めたと公言している。

デヴィッド・ハッセルホフは、ピーターがエゴの惑星で語る「理想の父親像」として本人役で登場し、本編のテーマ曲『Inferno』も歌っている。幼い頃、父とともにハッセルホフ主演の『ナイトライダー』を見ていた——ガンはそんな個人的な記憶を、ピーターの台詞に重ねている。

葬儀シーンを彩る花火は、破門されていない者だけに捧げられるラヴェジャーの伝統儀礼として描かれる。スタカー・オゴードが空を見上げ、「ヨンドゥ・ウドンタ」とつぶやく場面。これは葬儀全体を撮るにあたってガンが最初に書き上げた台詞だったと、インタビューで明かしている。

本作では、ハワード・ザ・ダックがコンタクシアの賭博シーンに再びカメオ出演しており、場面に映る一羽のメスのカモはハワードの恋人として描かれる。そしてスタン・リーのカメオ。前作から本作、さらに以後の作品までを貫いて「同一人物が銀河じゅうを巡る観察者」だとする解釈を、最も強くにじませた一場面である。

31テーマと解釈

本作の核心は、『父親(father)とお父さん(daddy)は別物だ』という一行に集約される。エゴはピーターに遺伝子と銀河規模の能力を授けた。だが、息子と過ごす時間を割いたことは一度もない。一方のヨンドゥは、少年を地球からさらい、青いトロールのような暴君として育て上げた。しかしその裏で、ピーターを『拡張』からも、サノスからも、エゴからも遠ざけるために、自らの『時間』を費やしていたのだ。本作は父性を、血のつながりではなく、時間の積み重ねとして描き直す。

もう一つの主題は、『家族とは、選び直せるものなのか』である。ネビュラとガモーラは、血ではなくサノスの暴力によって結ばれた『姉妹』だ。ロケットとヨンドゥは、互いに『社会から見放された孤独な獣』であり、ドラックスとマンティスは、『家族を失った者』と『家族を持ったことのない者』である。本作はそれぞれの組み合わせに、家族として並び直すための一夜を、等しく与えている。

三つ目の主題は、『懐古ポップは記憶を救えるのか』だ。ピーターは80年代のAwesome Mixを、亡き母メレディスとの絆をつなぐ唯一の品として肌身離さず持ち歩く。エゴは、そのポップ感覚を分かち合える『同類』としてピーターに近づいていく。だが、ラストに流れる『Father and Son』が証明するのは、ピーターの過去を癒やしたのが遺伝上の父ではなく、母メレディスとヨンドゥの両者であったという事実だ。それを、音楽そのものが物語っている。

テーマと解釈

32見る順番

本作は MCU のなかでも単独作としての性格が強く、押さえておくべき前提は前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)だけである。前作で描かれたピーターの母メレディスの死、ヨンドゥとピーターの間柄、ガモーラとネビュラの姉妹の確執を頭に入れて臨めば、本作の感情の起伏がいっそう深く響くはずだ。

鑑賞後は、ピーターたちが MCU 本流に合流する『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』、そしてガーディアンズが大きく動く『ソー:ラブ&サンダー』、ロケットの過去へと踏み込む完結編『Vol. 3』へと進むのが自然な流れだろう。

見る順番

33よくある質問

「あらすじだけ知りたい」なら、ソヴリンの仕事、ロケットによる盗み、ベルハート号の不時着、エゴの登場、惑星エゴでの真実の暴露、拡張の発動、ベイビー・グルートの爆弾と惑星崩壊、ヨンドゥの犠牲、そして葬儀——この骨格を押さえれば十分だ。「結末・ネタバレを知りたい」なら、核となるのは次の四点である。エゴがメレディスに脳腫瘍を植えたこと。子供たちを大量に殺してきたこと。ヨンドゥがピーターのために自分のスーツを譲り、凍死すること。そしてスタカーが最後にヨンドゥを許すこと。

「初めて観る」なら、最低限おさえておきたいのは前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)だ。ピーターの母メレディス、ヨンドゥの過去、ガモーラとネビュラの姉妹の確執、そしてAwesome Mixのテーマ——いずれも前作で土台が築かれている。ここを飛ばすと、感情の起伏が大きく削がれてしまう。

「ポストクレジットのどれが本筋に関わるのか」という点では、後続作品に直接つながるのは三つだ。②スタカー率いる旧ガーディアンズの集結(コミック原作、そして続編『Vol. 3』への伏線)、③アイーシャによる『アダム』の創造(『Vol. 3』でアダム・ウォーロックとして登場する)、①クラグリンへのフィン継承(『Vol. 3』でのクラグリンの活躍へと結びつく)。残る④⑤⑥は、キャラクターとファンに向けた締めくくりである。

34参考資料・脚注

作品名、キャラクター名、画像、および各種権利は、それぞれの権利者に帰属する。公開年や興行成績、受賞歴、配信状況、外部からの評価は変動するため、視聴の前に公式サイトおよび各データベースの最新の表示を確認されたい。本記事の本文は、各種の公開情報をもとに、Anna Movies のための独自の日本語記事として構成したものである。

参考資料・出典 (5件)
  1. Marvel公式 Guardians of the Galaxy Vol. 2
  2. Marvel Cinematic Universe Wiki: Guardians of the Galaxy Vol. 2
  3. IMDb: Guardians of the Galaxy Vol. 2 (2017)
  4. Box Office Mojo: Guardians of the Galaxy Vol. 2
  5. Rotten Tomatoes: Guardians of the Galaxy Vol. 2