第2使徒リリス(LILITH)は、第1使徒アダムと対をなす『知恵の樹』を持つ生命の祖である。アダム系統の使徒に対して、地球上の リリン(人類) を含む大半の生命の祖と位置づけられる。劇中では NERV 本部・第3新東京市ジオフロント最深部の セントラルドグマ最深部(ターミナルドグマ) に、ロンギヌスの槍 で胸を貫かれた状態で巨大な紅い十字架に磔にされており、紫の仮面と白い巨人体が象徴的なヴィジュアルとして提示される。TV版・旧劇場版では当初『アダム』だと一部職員に偽装されていたが、第拾五話以降に正体が段階的に開示され、赤木リツコ による解説で『あれはアダムじゃない、リリスよ』とミサトに告げられる場面 (旧劇『THE END OF EVANGELION』終盤) でシリーズ屈指の真相暴露がなされる。初号機の素体はリリスのクローン (下半身を切り出したもの) であり、人類補完計画の最終局面では、リリスを器として全人類(リリン)を一つに統合する儀式が発動する。新劇場版では『第2の使徒』表記が最初から明示され、仮面ロゴが SEELE から NERV に変更、Q 以降は頭部が欠損し2本の槍に貫かれた状態でターミナルドグマに残されている。
アダムと対をなす『知恵の樹』の主
アダム=『生命の樹』、リリス=『知恵の樹』というカバラ的二元論が、シリーズの根本設定として配置されている。アダム系統からは使徒(第3使徒サキエル〜第17使徒タブリス)が派生し、リリス系統からは リリン(=人類) および エヴァンゲリオン初号機 が派生する。エヴァ初号機は、リリスの下半身を切り出してクローン培養した巨大生命体に装甲を被せたものとされ、コアに碇ユイの魂を宿す点で、シリーズの母系統 (リリス→ユイ→シンジ) の象徴となっている。零号機の素体については公式に断定されておらず、アダム素体説・リリス素体説・特殊個体説の諸説が並立する。
ターミナルドグマ — 磔のリリス
リリスが磔にされているのは、NERV 本部地下のジオフロントよりさらに深い セントラルドグマ最深部(ターミナルドグマ) である。LCL の海の上、巨大な紅い十字架に磔にされ、紫の仮面(TV版・旧劇は SEELE のロゴ、新劇場版は NERV のロゴが刻印)で素顔を覆われた白い巨人として描かれる。胸には ロンギヌスの槍 が貫通しており、これがリリスの活動を抑止して磔状態を維持している。NERV 一般職員には『アダム』と偽装されていたが、第拾五話以降のシンジ・ミサト・リツコの会話で『下のは7番目の使徒です』『あれはアダムじゃない、リリスよ』(出典は劇場版『THE END OF EVANGELION』終盤の有名な台詞) で正体が決定的に明かされる。
第拾五話〜第弐拾肆話 — 段階的に開示される正体
リリスの姿は TV版で段階的に開示される。第拾五話「嘘と沈黙」 で初めてターミナルドグマの磔状態が画面に登場するが、この時点では『アダム』との偽装が維持される。第弐拾参話「涙」 でリツコがレイ量産クローン槽をシンジに見せて崩壊する一連のシーンでリリスの巨大さが強調され、第弐拾肆話「最後のシ者」 で渚カヲル(第17使徒タブリス)がターミナルドグマへ降下しつつ『リリス…』と呟くシーンが、本編内で名前が口に出される最重要箇所となる。カヲルは磔にされているのが想定外のリリスだと知って計画を放棄し、シンジに『さぁ、僕を殺せ』と告げて初号機に頭部を握り潰される。
旧劇『THE END OF EVANGELION』 — 槍が抜かれてリリス覚醒
『THE END OF EVANGELION』(1997) の終盤、ゲンドウが 綾波レイ (リリスから生み出されたクローン体) との融合を試みるが、レイは自身の意思でゲンドウを拒絶し、ターミナルドグマのリリス本体と一体化する。胸に貫かれたロンギヌスの槍が抜かれることでリリスは覚醒し、綾波レイの顔を持つ巨大化したリリス として地表へ浮上する。続いて発動するのが アンチA.T.フィールド で、全人類の弱い A.T.フィールド を消失させて自他の境界を崩壊させ、人類全員を LCL に還元する 人類補完計画 儀式となる。最終的にシンジが『他者がいる世界』を望んで人類を再構成する選択を行い、リリスは崩壊して首が地表に落ちる衝撃的なシークエンスで物語が締めくくられる。
新劇場版での扱い — 仮面ロゴ変更とQの頭部欠損
新劇場版でもリリスはターミナルドグマ最深部に磔として登場するが、いくつかの差分がある。『序』(2007) 終盤のターミナルドグマ降下シーンでは、リリスの仮面ロゴが TV版・旧劇の SEELE ロゴから NERV ロゴに変更 されており、『第2の使徒』というキャプションが画面に明示される。これは新劇場版がリリスの正体偽装ギミックを廃して、最初から正体を観客に提示するスタンスへ転換したことを意味する。『破』(2009) ラスト〜『Q』(2012) の14年後では、ニアサードインパクト関連の事象でリリスの首から上が切断・損壊した状態となり、頭部欠損のままターミナルドグマ深部に残置される。Mark.06 の月面降下 および第12使徒関連の事件で、最終的にロンギヌスの槍がもう1本追加されて2本の槍がリリス本体に貫通する状態となり、リリス由来の使徒体としての機能はほぼ停止する。『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』(2021) ではすでに残骸描写のみで、本格的な再登場はない。
リリン — リリスの末裔としての人類
『リリン』 は、渚カヲル(第17使徒タブリス) がシンジに『君達リリン』『リリスから生まれた者』と告げた呼称で、人類自身を指す第18使徒 として位置づけられる。語源はヘブライ語 לִילִית (Lilit / リリト) で、旧約聖書『イザヤ書』34:14 に登場する夜の妖怪/魔女・アッカド語の女夜魔リリートゥ起源説に遡る。ユダヤ伝承(中世カバラ文献)ではリリスはアダムの最初の妻とされ、その子孫が『リリン』と呼ばれた。エヴァは『リリンの子=人類』『人類自身が最後の使徒である』というシリーズ最大のトリックのために、この命名構造を直接の元ネタとして採用している。『使徒を倒して人類を守る』というシリーズの建前自体が、最後の使徒たる人類が自分達の祖(リリス)を倒し続けている構図に反転する。
関連ページ
第1使徒アダム はリリスと対をなす生命の祖。使徒 全体の中でリリンを含めた番号体系を整理。ロンギヌスの槍 はリリスを磔状態に固定する聖遺物。人類補完計画 はリリスを器として発動。エヴァンゲリオン本体 の初号機はリリスから複製された。A.T.フィールド と LCL はアンチA.T.フィールド発動時にリリスを介して人類のLCL還元に作用する。綾波レイ はリリスから生み出されたクローン体で、旧劇終盤にリリス本体と一体化する。
リリス のよくある質問
本ページに頻出する質問とその回答を Q&A 形式でまとめる。各回答は本文の該当セクションをコンパクトに再述したもの。
リリスは何号の使徒?
TV版・旧劇場版ではゲーム『新世紀エヴァンゲリオン2』(2003) 以降で『第2使徒』が公式設定として確立。新劇場版では『第2の使徒』が最初から画面に明示される。
リリスとアダムの違いは?
アダムは『生命の樹』を持ち、使徒(第3〜第17使徒)の祖。リリスは『知恵の樹』を持ち、地球上のリリン(人類)を含む大半の生命の祖。両者を融合させるとサードインパクト=人類補完計画が発動する関係にある。
リリスはどこにいる?
NERV 本部・第3新東京市ジオフロント最深部のさらに下層『セントラルドグマ最深部(ターミナルドグマ)』に磔状態で封じられている。胸にロンギヌスの槍が貫通しており、紫の仮面と紅い十字架が象徴。
『リリン』とは?
渚カヲル(第17使徒タブリス)が人類を指して使った呼称で、第18使徒とも呼ばれる。語源はヘブライ語のリリト(リリス)の複数形で、『リリスから生まれた者』『リリスの末裔』を意味する。シリーズ最大のトリックの一つで、人類自身が最後の使徒であるという反転構造の核となる。
初号機の素体はリリス?
公式設定では初号機の素体はリリスのクローン(下半身を切り出してから人型に再構成したもの)とされる。零号機の素体についてはアダム素体説・リリス素体説などの諸説があり、公式に断定されていない。弐号機以降の量産機・Mark系はアダム由来。
本ページの主な参考資料
本ページに記載した事実は、以下の一次情報および ja.wikipedia 各エントリを WebSearch / WebFetch で参照して記述している。記述の現状は2026年5月時点。