物語 / 出来事
念の講習会
クラピカが1014号室で開いた第1回・第2回念講習会を、目的、参加者、暗殺事件、カミーラ私設兵の呪詛、替え玉ワブル問題まで整理する。
念の講習会は、最下位のワブル陣営が各王子の警護へ念を教える異例の集まりである。クラピカは念を一部の上位王子だけが独占する状況を崩し、下位王子への一方的な暗殺を止めようとした。ところが参加者が1014号室へ集まることで、正体不明の能力者と詛贄者にも標的へ近づく機会が生まれた。
第1回ではバリゲンとミュハンが呪唇白蛇に殺され、能力者はNo.413時点でも不明である。第2回にはカミーラ私設兵サラヘルが従事者を装って参加し、ワブルを呪殺しようとしている。しかし室内の乳児は替え玉で、本物ワブルの現在地は分からない。講習会の安全性は、誰が念を覚えたかだけでは判断できなくなった。
基本情報
| 主催・講師 | クラピカ |
|---|---|
| 会場 | ブラックホエール1号第1層1014号室 |
| 第1回開始 | 出航2日目9時 |
| 第1回の参加者 | 各室から派遣された16人 |
| 第2回開始 | 出航12日目約9時 |
| 第2回の構成 | 指導係3人、継続7人、新規8人。スラッカが追加参加を申出 |
| 未解決事件 | 呪唇白蛇の能力者、サラヘルの呪詛の成否 |
講習会を開いた理由
継承戦の開始時点で、ベンジャミンやカミーラの私設兵は念を修得していた一方、下位王子の従事者には念を知らない者が多かった。見えない守護霊獣や発を相手に、知識のない警護は攻撃を認識することさえ難しい。クラピカは電話で各陣営へ念の存在を公開し、修得希望者を1014号室へ招いた。
この判断はワブルを守るための抑止策でもある。念の知識が全陣営へ広がれば、上位王子は能力者だけで密かに排除する優位を失う。ただしクラピカが講師として拘束される時間は長く、参加者の中に敵がいれば室内から情報を集められる。防衛のための公開が、新しい侵入経路を作るという矛盾を抱えていた。
第1回参加者と指導方法
第1回は出航2日目9時に始まり、各王子の警護と従事者から16人が参加した。ヒュリコフ、ロンギ、ベレレインテは念能力者であることを隠しており、クラピカの指導内容だけでなく、他陣営の能力者を見抜く目的も持つ。1014号室にはバビマイナやビルら同席者も残り、講習の外側でも監視が続いた。
クラピカは人差し指の絶対時間で奪ったサイールドの能力を利用し、受講者を半強制的に覚醒させた。通常の修行より速い一方、能力を貸し与えるたびに絶対時間の負担を負う。講習を続けるほど参加者の防御力は上がるが、クラピカ自身の寿命と体力が削られる構造である。
呪唇白蛇による連続殺人
講習1日目、バリゲンは呪唇白蛇に襲われて死亡した。ロベリーには座敷人形が憑いており、不審な発言から拘束されるが、ロベリー本人が蛇を操る能力者だと確定したわけではない。2日目にはミュハンも同じ能力で殺される。出航初日に死亡したウッディーと警護兵4人を含め、犠牲者は7人に達した。
犯人は大勢が見守る室内で攻撃を成立させ、能力の発動条件も姿も隠している。参加者の誰か、同席者、室外から作用する能力者のいずれかは断定できない。念を知る者が増えても、攻撃の条件を特定できなければ防げない。この事件が、講習会を単なる修行イベントではなく推理戦に変えた。
第1回の成果と各陣営の思惑
講習8日目にはラジオラス、マオール、ユウリ、サトビが覚醒し、11日目には参加者全員が覚醒段階へ到達した。テンフトリはチョウライへ成果を報告し、マオールはツベッパとクラピカの相互協力を進める。受講者は自室へ戻って王子を守るため、知識の拡散は継承戦全体の戦力差を実際に縮めた。
一方、ベンジャミン側はヒュリコフを通じて能力者を識別し、カミーラ側は第2回への潜入を準備する。下位王子の生存率を上げる仕組みが、上位王子にとっては能力者の名簿を作る機会にもなる。講習で得られるものは同じでも、持ち帰る目的は陣営ごとに違う。
第2回の参加構成
第2回は出航12日目の朝に始まった。指導係はベレレインテ、ヒュリコフ、バビマイナの3人、継続参加はテンフトリ、ダンジン、マオール、サトビ、ユウリ、イラルディア、ラジオラスの7人、新規参加は8人である。さらにスラッカが参加を申し出ており、室内の人数と所属は第1回より複雑になった。
新規参加者には、下層任務から戻ったギッパー、ルズールス側のガトーとハピエッチ、マラヤーム側のナイペイ、カチョウとフウゲツの従事者が含まれる。サラヘルはカミーラ私設兵でありながら従事者を装う。参加者名簿は、誰が念を知らないかの一覧であると同時に、誰が身分を偽っているかを見抜く資料でもある。
| 区分 | 人数 | 主な人物 |
|---|---|---|
| 指導係 | 3人 | ベレレインテ、ヒュリコフ、バビマイナ |
| 継続参加 | 7人 | テンフトリ、マオール、ユウリほか |
| 新規参加 | 8人 | ギッパー、ガトー、サラヘルほか |
| 追加申出 | 1人 | スラッカ |
| 主催・講師 | 別枠 | クラピカ |
サラヘルの呪詛と替え玉問題
サラヘルは、つじつま合わせに生まれた僕等による呪殺を狙う詛贄者である。標的へ近づき、自死を代価に強い呪いを残す計画だが、1014号室にいる乳児は本物ワブルではない。オイトの妹の息子であり、王子ではない男性の替え玉だった。
呪詛が名前、血縁、王子資格、サラヘル本人の認識のどれを標的条件とするかは示されていない。替え玉をワブルだと信じて自死した場合、呪いが不発になるのか、別の対象へ向かうのか、除念師だけが出現するのかも不明である。替え玉の秘密はワブル陣営を守る盾になり得るが、予測できない誤作動も生む。
限定開示されたワブル情報
第2回の序盤、バビマイナとサカタは室内の乳児が男性であることを確認した。クラピカ側は替え玉の存在を限られた相手に知らせ、協力と監視の均衡を探る。全参加者へ同じ証明が共有されたわけではなく、本物ワブルの現在地も伏せられたままである。
この開示は講習会の目的を変える。第1回は念の普及が中心だったが、第2回は、誰にどこまで秘密を渡すかが防衛そのものになった。特殊戒厳令が発令されれば参加者は所属部隊の命令へ戻り、1014号室で交わした協力関係が維持される保証はない。
講習会が継承戦へ与えた影響
講習会によって、念を知らなかった警護も守護霊獣と発を前提に行動できるようになった。上位王子の能力者だけが一方的に攻撃する状況は崩れ、チョウライ、ツベッパ、ワブルの協力線も強まった。クラピカが作った抑止力は、銃の数ではなく情報の共有から生まれている。
しかし呪唇白蛇の犯人、サラヘルの標的条件、スラッカの参加意図は残ったままだ。講習会は安全地帯ではない。それでも中止すれば、覚醒したばかりの参加者を未完成の状態で各室へ戻すことになる。No.413以後の焦点は、戒厳令下で講習を継続できるか、参加者が誰の命令を優先するかに移る。
受講者が持ち帰る三つの情報
受講者が自室へ持ち帰るのは、念の技術だけではない。1014号室の人数、クラピカの疲労、他陣営の覚醒状況も報告材料になる。テンフトリはチョウライへ、マオールはツベッパへ成果を伝え、講習会を起点に停戦と協力が進んだ。情報共有が抑止を作る一方、講師側の弱点まで広がる。
ヒュリコフはオーラの揺らぎから能力者を探り、ロンギは念を隠したまま参加した。すでに念を使える者が初心者を装える以上、受講歴は能力の有無を証明しない。第2回で指導係へ回った人物も、クラピカと同じ目的で教えているとは限らない。
戒厳令で講習が中断した場合、覚醒直後の新規参加者は発を持たず、精孔だけが開いた状態で所属室へ戻る可能性がある。オーラを見られるようになっても、堅や凝を維持できなければ実戦の防御は完成しない。講習会の成果は参加人数ではなく、各人がどの段階まで修得して帰れるかで決まる。
第1回で覚醒した参加者は、第2回では教わる側から補助する側へ変わりつつある。講師一人へ依存しない体制ができればクラピカの負担は減るが、誤った理解も各室へ拡散する。誰が何を教え、どこまで再現できたかを追うことが、講習会後の能力評価に必要になる。修得段階の差は、戒厳令後の護衛配置にも表れる。指導係の離脱順も戦力差を生む。



