人物
ゲル
ハンター協会十二支んの巳、ポイズンハンターのゲル。検死官と薬剤師を兼ねる肩書、第13代会長選挙での立場、暗黒大陸への航海で担った防疫と検死の任務をまとめる。
ゲルは『HUNTER×HUNTER』に登場するポイズンハンターで、ハンター協会の十二支んでは巳の呼び名を持つ。検死官と薬剤師の肩書も併せ持ち、毒物と薬物を扱う専門家として協会内でも最上位に近い権限を握る。暗黒大陸への渡航に備えて設けられた科学班にも加わり、上陸後の防疫と検死を受け持つ。
原作での初登場は第318話、TVアニメ2011年版では第136話にあたる。第13代ハンター会長選挙ではパリストン=ヒルの議事進行に反対票を投じ、能力を突きつけて牽制する場面もあった。続く王位継承編ではブラックホエールに乗り込み、第3層の医療区画に配置されている。

ゲル 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

ゲル 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

会長選挙へ集まった十二支ん
基本情報
| 所属・役割 | ハンター協会の十二支んに属し、巳の呼び名を持つ。ポイズンハンターであり、検死官と薬剤師も務める。暗黒大陸への渡航に備えて編成された科学班の一員でもある。 |
|---|---|
| 初登場 | 原作は第318話。TVアニメ2011年版では第136話。 |
| 状態 | 生存。 |
| 能力・関係 | 化学、生物学、医学に通じ、サンビカ=ノートンと防疫手順をまとめる。蛇の腕という呼び名は説明のために用いられたもので、作中で示された正式名称ではない。念系統も本編では明かされていない。 |
| 実力への評価 | アイザック=ネテロの手合わせ相手を務めた経歴を持つ。カンザイはモラウ=マッカーナーシやノヴより強いと見ている。ハンター協会内での権限も最上位に近い。 |
| 十二支んでの派閥 | ミザイストム=ナナの説明では、十二支んは三つの派に分かれる。ゲルはサッチョウ=コバヤカワ、カンザイとともに自由・無派閥の側に数えられる。 |
| 航海中の配置 | ブラックホエール第3層の医療区画に、チードル=ヨークシャー、レオリオ=パラディナイトとともに配置された。検死部門も受け持つ。 |
人物像
十二支んの中でゲルに割り当てられた呼び名は巳である。毒物を扱うポイズンハンターであると同時に、検死官と薬剤師の職掌も担う。暗黒大陸への航海に備えて科学班が編成されると、その一員に加わった。専門は毒と薬、そして遺体の検分にまたがり、協会が未知の土地へ踏み込む際の医療面を支える位置にいる。
細身で痩せた体つきの女性として描かれ、長くまっすぐな黒髪を伸ばしている。目は蛇のそれに似て異様なほど大きく、鼻は反対にごく小さい。装いは胸元の開いた黒のロングドレスで、豊かな胸が強調される。肌は非常に白く瞳は金色だが、TVアニメ2011年版では褐色の肌と青い瞳に改められた。暗黒大陸へ向かう航海の場面では、肩を出したストラップレスのドレス姿で現れる。
普段は落ち着いて思慮深いが、パリストン=ヒルにだけは反感を隠さず、攻撃をためらわない。その場面では、他の面々が見ている前で自分の能力を使う大胆さも示した。同時に道理をわきまえた人物でもある。ビヨンド=ネテロが長い時間をかけて遠征の準備を進めてきたことを正しく読み取り、暗黒大陸行きについては、より備えがあると見るジン=フリークスが同行するなら自分も行くと述べた。
作中での動向
アイザック=ネテロの死後、新しい会長を選ぶため十二支んはハンター協会へ呼び戻された。開会前、面々は姿を見せない子について言葉を交わす。パリストン=ヒルの所在を気にするミザイストム=ナナには、票集めのために出歩いているのだろうと答えた。遅れて現れたパリストン=ヒルはただちに議事を仕切ろうとし、進行役の可否を挙手で問う民主的な手続きを取る。ゲルは反対に回ったが、少数派として押し切られた。
パリストン=ヒルは続けて会長選への立候補を表明し、選挙自体を省こうと持ちかけた。ジン=フリークスを除く十二支んは敵意をあらわにする。それでも動じない相手に対し、ゲルは能力を突きつけ、ここにいる誰も票を入れないと言い放った。やがてジン=フリークスも立候補するが、こちらに投票する者もいない。パリストン=ヒルがゴン=フリークスをめぐるやり取りの後で立候補を考え直すと、チードル=ヨークシャーは各自が選挙規則を書いて一つを引き当てるくじ引きを提案した。ゲルはくじを引く役がマーメン=ビーンズになると読む。実際に呼ばれたマーメン=ビーンズが引き当てたのはジン=フリークスの案で、その規則がその場で読み上げられた。
第2回投票後の会合では、カンザイがパリストン=ヒルへ詰め寄ろうとした。その進路を塞いだ障害の一つがゲルの念能力である。棄権者の増加を受け、パリストン=ヒルは有権者を集めて投票の重要性を訴える集会を提案した。ハンター協会の講堂に有権者が集まり、十二支んが演説に立つ。会は滞りなく進んだが、紺色のスーツを着た長身の男レオリオ=パラディナイトが壇上に上がってジン=フリークスへ問いを投げ、そのまま念能力でジン=フリークスを吹き飛ばす騒動が起きた。この混乱が95パーセントの定足数を満たす結果を招き、上位16名が第4回へ進む。ゲルは前の回で脱落しており、その中にはいない。
第6回では、ミザイストム=ナナ、サイユウとともに立会人を務めた。第8回の前には再び総会が開かれ、新会長が決まるまで出席したハンターの退出が禁じられる。第8回の直後、パリストン=ヒルは進行を遅らせる緊急動議を出した。決着は第9回でつき、勝者はパリストン=ヒルだった。当人が即座に辞任を告げたため、ゲルは驚きを隠せなかった。
王位継承編での動向
十二支んの会合は、マーメン=ビーンズの報せで中断される。映し出された放送では、カキン帝国のナスビ=ホイコーロ王が暗黒大陸への探索行を国として支援すると発表し、その隊長はアイザック=ネテロの息子を名乗るビヨンド=ネテロだった。演説と宣言を聞いた十二支んは当惑し、意気を削がれる。張り詰めた空気の中、マーメン=ビーンズは前会長が残したDVDが1枚ではなく2枚あったと明かした。ゲルは、前会長がこの事態を予感していたのだと口にする。マーメン=ビーンズによれば、自分の子を名乗る男が現れた場合に十二支んへ見せるよう指示されていた。ジン=フリークスとパリストン=ヒルを待つべきかで議論になると、ゲルは待たずに再生することを提案した。
チードル=ヨークシャーは、ジン=フリークスとパリストン=ヒルの双方が十二支んへ辞表を出し、自分が受理したと告げる。あわせてV5から特別任務が下されたことも明かした。命じられたのはビヨンド=ネテロを狩ることである。再生された2枚目のDVDで、前会長は暗黒大陸について語り、息子の行いのせいで死ぬまで大陸へ再び入れなかった経緯を説明した。終盤には、命令の体裁を取った願いを残している。再生が終わるとゲルはチードル=ヨークシャーの考えを尋ね、明らかに命令なのだから従うという答えを得た。
カキン帝国とは敵対するより手を組む方がよいというカンザイの発言を受け、ゲルはビヨンド=ネテロが数十年をかけて準備してきたと指摘する。そのうえで、暗黒大陸行きを本気で考えるほど無鉄砲な人物は一人しか知らないと述べた。ジン=フリークスが力を貸すならそれでよいが、仮に十二支んに残っていたとしても自分のやり方を通しただろうとも認めている。相手に大きく先を越されている事実は苦々しい。議論が紛糾すると、チードル=ヨークシャーがまだ狩りの理由すら明かしていないと指摘し、場を収めようとした。会合はビヨンド=ネテロからの電話で中断する。姿を見せた当人は、自分は捕らえられたとV5へ伝えるよう求め、これは取引だと言い添えた。
チードル=ヨークシャーが独房でビヨンド=ネテロを尋問する間、残る十二支んはマジックミラー越しに見守り、全員そろって暗黒大陸へ行くことになるという相手の予言に動揺した。その最中、ゲルはハンター協会が大陸へ渡ることの利点と不利をカンザイへかみ砕いて説明している。尋問を終えたチードル=ヨークシャーは、ビヨンド=ネテロとともに暗黒大陸へ向かうと十二支んへ伝えた。呑み込めていないカンザイに対し、ゲルはこう説く。今は囚人でも大陸へ着けば脱走する、協会はビヨンド=ネテロと仲間の再捕縛だけでなく大陸に潜む脅威にも対処しなければならない、と。何一つ分かっていない土地では何が襲ってくるかも読めないという見通しも示した。十二支んは、国際渡航許可庁長官が起草した契約書にビヨンド=ネテロが署名する場にも立ち会っている。
新しい亥と子が加わると、チードル=ヨークシャーは顔合わせの会合を開いた。冒頭で語られたのは、V5の各国がそれぞれ秘密裏に暗黒大陸へ探索隊を送り、災厄を持ち帰った経緯である。V5は現在V6と呼ばれ、持ち帰られた災厄は5大厄災として知られる。任務の難度はAで、キメラ=アントのBを上回る。質問を促されたクラピカが協会内にいるビヨンド=ネテロの協力者の数を確かめようとし、一同は驚いた。会合はミザイストム=ナナとクラピカが二人で話すため一度止まり、再開後は各自が準備状況を述べる。ゲルは、自分の任務が上陸後に始まるため今は手が空いており、一つ星のウイルスハンターであるサンビカ=ノートンと防疫の手順をまとめていると報告した。閉会にあたり、チードル=ヨークシャーは任務の成功へ力を尽くすよう求めている。
ブラックホエールでの任務
ハンター試験へ送り込まれた内通者についてミザイストム=ナナとクラピカが話す場面で、十二支んが三つの派に分かれていた事実が明かされる。ゲルはサッチョウ=コバヤカワ、カンザイとともに自由・無派閥の側に数えられた。十二支んの誰も気付かないまま、クラピカは導く薬指の鎖で内通者を探っており、ゲルは潔白と判定されている。録画された映像には、内通者と判定されたサイユウが自分の念能力とその使い方を説明し、十二支んがそれに聞き入る様子が収められていた。
ブラックホエールの出航にあたっては、クルック、ギンタ、ピヨン、サンビカ=ノートン、トキャリーヌ、そしてもう一人のハンターを集めた会合を主導した。地図を使い、どの地点でモラウ=マッカーナーシの船に乗り換えて暗黒大陸へ向かうのかを説明し、ノヴとトキャリーヌそれぞれの役割をはっきりさせている。輸送を助ける人員をさらに集められないかというトキャリーヌの問いには、それは難しいと答えた。この場でゲルはトキャリーヌをかわいいと感じ、トキャリーヌの側はゲルを細くて綺麗だと受け止めている。
船内では第3層の医療区画に、チードル=ヨークシャー、レオリオ=パラディナイトとともに配置された。航海11日目、チードル=ヨークシャーが率いる医療班が第9王子ハルケンブルグ=ホイコーロの治療にあたる。倒れて第3層の病院へ運び込まれた王子は、その時点では医療班にも知られないまま別人の自我を宿し、TSK-17を投与された状態にあった。チードル=ヨークシャーが出したいくつかの指示のうち一つが、ハルケンブルグ=ホイコーロの吐瀉物を検死部門のゲルへ回すことだった。
能力・特徴・関係
十二支んの一員であるゲルは、アイザック=ネテロの手合わせ相手を務めるほどの実力を備える。カンザイの見立てでは、モラウ=マッカーナーシやノヴより強い。ハンター協会内で持つ権限も最上位に近い。前会長の稽古相手だった経歴は、そのまま念の練度を裏づける材料になっている。
ポイズンハンターとして化学、生物学、医学に通じる。ビヨンド=ネテロの宣言とその後の捕縛が何をもたらすのかを、事情を掴めていないカンザイへ順序立てて説明した場面では、状況を整理する理解力を見せた。防疫手順の作成や検死の担当も、この専門知識に支えられている。
作中で描かれた能力の範囲は限られる。それでも、十二支んがそろった場でパリストン=ヒルを能力で脅すだけの自信は示した。カンザイがパリストン=ヒルへ手を出そうとした際には素早く割って入って止めており、速度にも優れる。蛇の腕という呼び名は説明のために当てられたもので、作中で示された正式名称ではない。念系統も本編では明かされていない。
英語版での表記
英語版の翻訳では、当初この人物の名が日本語表記のローマ字読みをそのまま用いた綴りで音写されていた。のちに単行本第33巻と第34巻の紹介ページ、および第346話で、綴りが改められている。